「最近、なんだかふらついて歩いている」「後ろ足をスキップするような変な歩き方をする」「足を引きずっているけれど、年のせいかな…?」このように、犬の歩き方に少しでも違和感を覚えた経験がある飼い主様は少なくないのではないでしょうか。
そのような異変は、整形外科疾患や神経疾患など、重大な病気の初期サインかもしれません。犬は自分の不調を言葉で伝えることができないため、歩き方の変化はご家庭で気づける貴重な「SOSサイン」です。老化や疲労と勘違いされやすいものの、放置すれば重症化する可能性もあります。
そこで今回は、日常生活で見られる「歩き方の異常」について、実際の動画をもとに、症状別にわかりやすく解説します。
正常な歩き方と異常な歩き方の見分け方|飼い主様が気づけるチェックポイント
犬の歩き方に異常があるかどうかを判断するには、まず「正常な歩き方」がどのようなものかを知っておく必要があります。
<正常な歩き方>
・左右の足がリズムよく均等に動いている
・体の軸がまっすぐで、ふらつきがない
・前足・後ろ足ともにスムーズに上がっている
<異常な歩き方>
・一方の足をかばうようにスキップする
・後ろ足を引きずる、もしくは足同士がクロスする
・歩行中に体が傾いたり、ふらついたりする
・同じ方向にぐるぐる回るような動きを繰り返す
こうした動きの変化は、痛みや麻痺、めまいといった神経症状が原因となっていることがあります。動画で比較することで違いはより明確になりますが、日常の中で少し注意して観察するだけでも、異常に気づくことは可能です。
愛犬の歩き方に違和感を感じたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
特発性前庭疾患
歩行の異常を引き起こす病気の一つに「特発性前庭疾患」があります。これは特に高齢の犬でよ
く見られる病気ですが、若い犬にも起こることがあるため、年齢に関係なく注意が必要です。
この病気の特徴は、症例動画①のように、頭を傾け、まっすぐ歩けず、同じ方向にぐるぐる回る、あるいは 片側に倒れてしまうといった行動です。
原因は足の痛みではなく、平衡感覚をつかさどる「前庭」と呼ばれる神経系に異常が起きていることによります。犬自身はこのとき、私たちが目を回したときのような激しいめまいに襲われており、動けなくなってしまうこともあります。
さらに、眼振(目が左右に揺れ動く症状)や嘔吐が伴うケースもあり、明らかに普段と異なる様子が見られた場合には、すぐに動物病院を受診することが大切です。
なお、当院では神経学的検査や画像診断などを用いて、前庭の異常を正確に評価し、原因を特定する体制を整えています。
左後ろ足の跛行(前十字靭帯断裂/膝蓋骨脱臼)
続いての症例は、左後ろ足を地面につけず、スキップするように歩くというものです。このような「跛行」は明らかに痛みをかばっている歩き方であり、多くの場合は整形外科的な疾患が原因です。
代表的なものとしては、前十字靭帯断裂や膝蓋骨脱臼、股関節の疾患などが挙げられます。特に小型犬に多く見られる病気で、当院でもよく診察する症例です。これらを放置してしまうと、関節炎や関節の変形が進行し、より深刻な状態になることがあります。
最近では、痛みのコントロールを目的とした新しい注射薬「リブレラ」も使用されており、手術以外の治療選択肢も広がっています。
なお、当院では年齢や症状に応じて最適な治療法をご提案し、治療方針や費用についても丁寧にご説明しています。
犬の前十字靭帯断裂の当院での検査方法や治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
犬の膝蓋骨脱臼の基礎知識や当院での手術法についてより詳しく知りたい方はこちら
椎間板ヘルニア
動画③では、後ろ足がもつれ、足の甲を地面に擦るように歩く「ナックリング」という特徴的な歩き方が見られます。これは、痛みではなく、神経の麻痺によって感覚が鈍くなっている状態を示しています。
原因のひとつが「椎間板ヘルニア」であり、脊髄を圧迫することで後ろ足の麻痺を引き起こします。この状態では食欲や元気が保たれていることも多く、飼い主様が異変に気づきにくいのが特徴です。しかし、進行すると歩行ができなくなったり、排尿に支障が出たりする場合もあるため、早期の受診が非常に重要です。
なお、犬では重度の椎間板ヘルニアの中の約10%程度において「進行性脊髄軟化症」といわれる後ろ足の麻痺に始まり、前足も麻痺し脳脊髄も侵され、最終的に呼吸困難でほぼ100%亡くなる恐ろしい病気も隠れています。
猫では「大動脈血栓塞栓症」という心臓病に関連した病気でも同様の後肢の麻痺が起こることがあります。
この疾患は突然発症し、激しい痛みを伴い亡くなることが多いため、神経性の麻痺との鑑別が必要になります。
当院では、整形外科と神経疾患、および血栓症起因の心臓疾患がないかの多角的な視点から適切な診断を行い、状況に応じて内科管理や外科手術もご提案しています。
犬の椎間板ヘルニアの当院での治療方針や実際の症例についてより詳しく知りたい方はこちら
異常を感じたら、すぐに受診を|年中無休でどんなときも相談できる安心感
「ちょっと様子を見てから…」と迷っている間に、症状が進行してしまうことは少なくありません。特に神経疾患では、早期の診断と治療がその後の回復に大きく影響するため、少しでも異常を感じた場合は、すぐに動物病院にご相談ください。
なお、当院では年中無休で診療を行っており、手術時間中も含めて緊急対応が可能です。
また、併設のトリミングサロンやペットホテルでも、獣医師・動物看護師・トリマーが連携し、日常の中で小さな異常にも気づけるよう努めています。
不安な症状が見られた場合は、お気軽にご相談ください。
まとめ
犬の歩き方に見られる変化は、決して見過ごしてはいけない「健康のサイン」です。「ちょっと足を引きずっている」「変な歩き方をしている」などの異変は、整形外科疾患や神経疾患、平衡感覚の障害といった重大な原因が隠れていることがあります。
今回ご紹介した動画と症状の内容をご覧になって、「うちの子と症状が似ているかも…」と感じた飼い主様は、どうか自己判断せず、すぐに動物病院へご相談ください。
当院では、歩き方の異常に関する豊富な診療経験を活かし、整形外科や神経疾患の両面から適切な診察と検査を実施しています。大切な家族である犬の健康を守るために、どうぞお気軽にご相談ください。
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