確かに、アレルギーによって痒みが引き起こされることはよくありますが、実はその原因はアレルギーだけではありません。アトピーや感染症、ホルモン異常、さらには精神的なストレスなど、さまざまな要因が絡んでいる可能性があります。
また、痒みは犬や猫が発している大切なサインです。見た目ではわからない体の異常を知らせてくれていることもあります。そのため、早めにその原因に気づき、適切な対応を取ることが、犬や猫の健康と生活の質(QOL)を守るうえでとても大切です。
今回は、犬や猫が体を掻いたり足を舐めたりする背景にある原因や、正しい治療の進め方などについて解説します。
犬や猫の「痒み」は病気のサイン?|まず知っておきたい基本
痒みと聞くと、多くの飼い主様は皮膚そのものに異常があると考えがちです。しかし実際には、痒みは皮膚だけの問題に限らず、体のどこかに変化が起きていることを知らせる重要なサインとして現れる場合があります。体の内側や外側からの刺激、さらには精神的な要因が影響することもあるため、症状の出方や変化を注意深く観察することが大切です。また、一時的な刺激で軽快する場合もあれば、根本的な治療が必要な慢性疾患が隠れているケースもあります。「今回もまたそのうち治るだろう」と安易に様子を見ていると、皮膚の状態が悪化してしまい、治療が長引くことにもつながります。そのため、痒みが続くようであれば、できるだけ早く動物病院を受診し、原因をしっかり調べることが大切です。
痒みの主な原因①|感染症が関係するケース
痒みの原因として特に多く見られるのが感染症です。以下のような病原体が皮膚に炎症を引き起こし、強い痒みをもたらします。◆ノミ・ダニ
皮膚に直接的な刺激を与え、ノミアレルギー性皮膚炎の原因にもなります。
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◆細菌感染
膿皮症と呼ばれる皮膚の感染症を引き起こし、赤みや膿疱、フケを伴うことがあります。
◆真菌感染
マラセチア皮膚炎や皮膚糸状菌症など、カビによる皮膚病が関係しているケースです。
これらの感染症では、痒みのほかにも「皮膚のべたつき」「フケ」「赤み」「脱毛」などの症状が見られることがあり、症状によって治療法も異なります。見た目の似た症状でも、原因によって治療内容がまったく異なるため、正確な診断が非常に重要になります。
痒みの主な原因②|アレルギー性の痒み
感染症の可能性が除外された場合、次に疑われるのがアレルギーです。アレルギーによる痒みには、いくつかの種類があります。◆ノミ・ダニアレルギー
春から秋にかけてノミやダニが活発になる時期に発症しやすく、わずかな寄生でも強い痒みを引き起こします。
◆食物アレルギー
特定のタンパク質など、食事に含まれる成分が原因となる慢性的なアレルギーで、原因食材を特定して除去することで改善します。
◆犬アトピー性皮膚炎
若い犬に多く、季節性関係なく一年中通して痒みが見られるケースが多いです。
痒みの主な原因③|そのほかに考えられる要因
感染症やアレルギー以外にも、痒みを引き起こす要因はいくつかあります。◆ホルモン異常
甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)などの内分泌疾患が、皮膚の乾燥や被毛の変化、痒みを伴う皮膚トラブルを引き起こすことがあります。
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◆心因性の痒み
環境の変化やストレスが原因で、犬や猫が不安を感じ、特定の部位を舐め続けるといった行動をとることがあります。
こうした場合は、皮膚自体に明らかな異常がないことも多く、診断には丁寧な問診と観察が必要です。また、これらの要因が単独で起こるとは限らず、複数の原因が組み合わさっているケースもよく見られます。症状の背景を正しく読み解くためにも、獣医師による総合的な判断が欠かせません。
痒みの診断は「感染症の除外」から実施します
「痒い=アレルギー」と思われる方も多いですが、まずはその考えを一旦脇に置いてみてください。痒みの背景には感染症が潜んでいるケースが多く、ここを見逃してしまうと治療がうまくいかない可能性があります。例えば、細菌や真菌(カビ)、ノミ・ダニといった外部寄生虫が皮膚に炎症を起こし、それが痒みの原因になっていることがあります。こうした感染症にアレルギー用の治療薬を使っても効果は期待できず、むしろ悪化する恐れさえあります。
そのため、当院では初期段階で「感染症の有無」をしっかり確認し、順序を立てて診断を行っています。一見遠回りに思えるこの方法こそが、犬や猫の体への負担を最小限に抑え、適切な治療へとつながる第一歩なのです。
治療方法と向き合い方
かつては痒みの治療というと、ステロイド剤が主流でした。確かにステロイドは強い抗炎症作用があり、即効性もありますが、長期使用による副作用(多飲多尿や免疫抑制など)が問題となることもありました。そこで現在は、以下のように治療の選択肢が増え、副作用に配慮した治療が可能になっています。
◆ステロイド
短期間で強い痒みを抑える際に有効ですが、長期使用は慎重に判断する必要があります。
◆分子標的薬(アポキル・ゼンレリア)
副作用がなく、内服薬として毎日与えるタイプの治療薬です。
◆抗体医薬(サイトポイント)
月1回の注射で痒みを抑える治療法で、投薬が難しい場合にも適しています。
このように、今や痒みは「我慢させるもの」ではなく、「コントロールできるもの」です。当院では、愛犬や愛猫の症状や性格、生活環境に合わせて、無理のない治療プランをご提案しています。
治療方法について、ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。
受診前にできること|診断の助けになる飼い主様のメモ
犬や猫が痒がっている場合、より正確な診断のために、以下のような情報を事前に整理していただくと、獣医師の判断の助けになります。・いつから痒がっているか(症状の開始時期、季節性があるか)
・どこを痒がっているか(耳、足先、顔、背中など特定の部位)
・普段の食事内容(使用しているフードやおやつの成分)
・最近の生活環境の変化(引っ越し、家族構成の変化、近隣の工事など)
なお、当院ではトリミングやホテルをご利用いただいた際にも、スタッフが皮膚の小さな変化に気づけるよう常に目を配っています。日常生活でのささいな変化でも、ぜひお気軽にお伝えください。
まとめ
犬や猫が体を掻いたり、足を舐め続けたりする痒みには、さまざまな原因が関係しています。アレルギーだけでなく、感染症やホルモンの異常、心因的な要素など、複数の要因が重なっているケースも多いため、まずは順序を立てて原因を明らかにすることが大切です。「またいつもの痒みかな」と自己判断するのではなく、早めに動物病院にご相談いただくことで、治療の選択肢が広がります。当院では、犬や猫の負担をできるだけ減らしながら、確実に症状を改善していけるようサポートいたします。年中無休で診療を行っておりますので、お困りの際はいつでもご相談ください。
愛犬や愛猫が快適に毎日を過ごせるよう、飼い主様と一緒にサポートしてまいります。
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