「薬を減らすと症状がぶり返す」「良くなってきたと思ったのに、また悪化してしまった」「今の治療で十分だけど、もっと楽にしてあげたい」「高齢だから手術はできれば避けたい」といったお悩みを抱える飼い主様は少なくありません。
特に、慢性的な痛みや長引く症状を抱える犬や猫にとっては、西洋医学による治療だけでは思うような改善が得られないケースもあります。
こうしたお悩みに対して、当院では西洋医学と東洋医学を組み合わせた「中西結合(ちゅうせいけつごう)」という治療アプローチをご提案しています。
西洋医学は病気の原因そのものを取り除く「駆邪(くじゃ)」に優れています。一方で東洋医学の中医学は、体のバランスを整え、自然治癒力を高める「扶正(ふせい)」を得意とします。この2つの特性を組み合わせることで、より効果的かつ個別性の高い治療が可能となります。
当院では、中医学診療として漢方治療や鍼灸治療を取り入れ、犬や猫のQOL(生活の質)の向上を目指したケアを行っています。そこで今回は、犬や猫に対する漢方治療や鍼灸についてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
中医学診療とは?基本的な考え方
中医学は、古来より伝わる東洋医学の理論に基づいており、「症状を抑える」だけでなく、「体質を整える」ことを重視しています。犬や猫が本来持っている自然治癒力や、身体のバランスを保とうとする力(ホメオスタシス)を引き出すことを目指します。
当院の中医学診療は、以下の3つのステップで構成されています。
◆治療
まずは、目に見える症状の軽減や消失を目指します。
◆調節
症状の原因にアプローチしながら、自己治癒力を高めて慢性疾患のコントロールを行います。
◆養生
病気を再発させにくい体質づくりを行い、健康維持とQOLの向上を目指します。
西洋医学では「病気」に焦点を当て、対症療法が主軸となりますが、中医学では「動物そのもの」に注目し、体質や生活環境をふまえて治療方針を組み立てます。双方のアプローチは対立するものではなく、組み合わせることでより幅広い選択肢を提供できる点が大きな魅力です。
漢方治療の特徴とメリット
漢方治療は、中医学の理論に基づき、
自然由来の「生薬(しょうやく)」を使って体のバランスを整える治療法です。動物に負担をかけず、優しく穏やかに体の内側から整えていくことが特徴です。
漢方治療には以下のようなメリットがあります。
・「治療→調節→養生」と段階的に進むことで、状態が落ち着いてきたら通院回数や使用する漢方薬の量を減らすことが可能です。
・西洋薬と併用することができ、症状に対して相乗的な効果が期待できます。
・一時的に症状を抑えるのではなく、体質そのものに働きかけるため、根本からの改善を図ることができ、再発の予防にもつながります。
犬や猫の体質や症状に合わせてオーダーメイドで処方を行うため、個々に合ったきめ細やかな治療が可能です。
鍼灸治療について
鍼灸治療は、鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて体の表面にあるツボを刺激し、体調を整える伝統的な治療法です。
当院では、以下のような慢性疾患や難治性疾患に対して鍼灸治療を導入しています。
・椎間板ヘルニア
・変形性関節症
・慢性消化器疾患
・泌尿器疾患 など
「鍼は痛そうで不安…」というお声をいただくこともありますが、使用する鍼は非常に細く、一般的なワクチン注射よりも細いため、痛みはほとんどありません。多くの犬や猫がリラックスして治療を受けており、施術中に眠ってしまうこともあるほどです。

当院の中医学診療の特徴
当院では、国際中獣医学院認定の中獣医鍼灸師が診療を担当しています。この資格は専門的な知識と技術を必要とするもので、2025年9月現在で全国に250名しかいない希少な存在です。
中医学診療は「西洋医学では対応しきれない部分を補うための選択肢の一つ」としてご提案しています。治療の主軸をどちらに置くかは症例ごとに異なりますが、当院では以下のような方針で治療にあたっています。
・西洋医学と東洋医学を組み合わせた総合的な診療を提供
・他の獣医師との連携による、情報共有や治療方針の確認
・症状や病態に応じて、治療法を柔軟に選択
・必要に応じて院内のリハビリや栄養管理とも連携
一つの治療法に偏るのではなく、犬や猫にとって最適なアプローチを常に追求しています。
なにか分からないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
当院の治療実績・症例紹介
実際に当院で中医学診療を受けた犬や猫の症例をいくつかご紹介しています。
・Tさん:中西結合治療を実施。併せて院内リハビリによる機能回復を図る。
・Oさん:てんかんのコントロール目的で漢方と鍼灸治療を併用し、発作頻度の軽減がみられた症例。
※症例紹介の詳細については、院内にてご案内しております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
治療を受けられる方へ|診療の流れと費用について
中医学診療は、以下のような飼い主様におすすめです。
・これまでの治療では思うような改善がみられない
・慢性的な症状が長引いており、別の治療法を探している
・薬や手術に頼らない方法を検討している
・体質から改善し、病気の再発を防ぎたいと考えている
<診療日と予約・注意事項について>
◆診療日
毎月第2・第4土曜日 13:00~16:00
◆予約方法
ネット予約には対応しておりません。お電話にてご予約をお願いいたします。
◆初診時のお願い
現在の症状だけでなく、これまでの食事内容や生活環境などもお伺いします。そのため初診の際は1時間枠でのご予約をお願いしております。
◆安全性について
個体差はあるものの、副作用や合併症は極めて少なく、安全性の高い治療です。
まとめ|「治らない」と諦める前に、中医学診療という選択を
慢性的な痛みや難治性の病気は、犬や猫にとって大きなストレスとなるだけでなく、飼い主様の心にも大きな負担を与えます。そんなときこそ、中医学診療という「第3の選択肢」を検討してみてはいかがでしょうか。
中医学診療の最終的なゴールは「養生」、つまり症状を一時的に抑えるのではなく、心身ともに健やかでいられる状態を保ち、QOLを向上させることです。
当院では、中医学診療を通じて、他の動物病院からのご紹介を受ける症例にも積極的に対応し、獣医師・リハビリ担当・看護師といったチーム全体で一丸となって治療にあたっています。外科や内科治療とは異なる、新たな可能性としての中医学診療にご興味をお持ちの方は、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
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<参考文献>