犬や猫は、さまざまな心臓の病気を発症します。心臓の病気を診断するために必要不可欠なのが、心エコー検査です。心臓の状態は外見からは分からないため、心臓の形や動きを画面に映し出すことができ心臓の様子を診ることができる心エコー検査がとても大切です。
今回は犬や猫でよく見られる心臓病の例とともに、心エコー検査の方法や検査で得られる情報についてご紹介します。
心エコー検査とは?
心エコー検査とは、超音波を胸に当ててはね返ってくる波から、心臓の形を輪切りの画像として映し出す検査です。この検査は心臓病の診断だけでなく、健康診断時の検査、重症度の予測や心臓病の進行度、治療方針の決定、治療効果の判定などのさまざまな役割があります。
心臓の構造と機能
犬や猫の心臓は、右心房、左心房、右心室、左心室という4つの部屋からできています。それぞれの部屋には、以下のような役割があります。
・右心房:全身にめぐって二酸化炭素を受け取った血液(静脈血)を収容する。
・左心房:呼吸によって取り込んだ、酸素を多く含む血液(動脈血)を収容する。
・右心室:右心房に入った血液を肺動脈へと送る。
・左心室:左心房に入った血液を大動脈へと送り、全身の血管に運ぶ。
心臓は拡張と収縮を繰り返して、全身の血液の出入りをコントロールしています。
犬や猫の心臓病・心雑音
犬や猫でよく見られる心臓病には、以下のようなものがあります。
<犬の僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)>
左心房と左心室の間にある僧帽弁がうまく閉じなくなり、血液が逆流してしまいます。
<猫の肥大型心筋症(HCM)>
心臓の筋肉(心筋)が分厚くなることで、左心室がうまく広がらなくなります。
<犬の拡張型心筋症(DCM)>
心室が広がりすぎてしまい、全身に血液を送る機能が低下します。
<犬の肺高血圧症(PH)>
三尖弁閉鎖不全症や犬糸状虫症、MMVDなどの病気によって、肺動脈の血圧が上がります。
<猫の僧帽弁前尖前方運動(SAM)>
心臓が収縮するとき、僧帽弁の前尖という部分が心室中隔(左右の心室を分ける壁)側に移動する状態で、HCMの猫でよく見られます。
これらの病気だけでなく、心臓病の犬や猫ではさまざまな程度の心雑音が聞こえる可能性があります。心雑音が聞こえるということは、心臓のどこかで血液の乱れがあることを意味するため、病気を正確に判定するには心エコー検査が不可欠です。
心エコー検査の方法
心エコー検査ではプローブと呼ばれる端子を皮膚に当て、超音波の反射を利用して心室や心房、心筋などを映し出します。検査時には保定の必要がありますが、無麻酔で実施できるのが大きな強みです。検査では画像をきれいに映し出すためにエコーゼリーを塗ったり、部分的に毛刈りをしたりする場合もあります。
心エコー検査でわかること
心エコー検査では、以下のことがわかります。
・心臓の大きさや形状の異常(心臓の大きさを判定するためには、レントゲンも同時に行います。)
・心臓の収縮力や弁の動き
・血流の方向と速度
上記3項目の進行性を数か月に一回確認することで治療の開始時期、および薬の強化をなどを判断します。
当院では全身の健康状態を把握するために、心エコー検査とともに血液検査も一緒に行います。また検査の頻度は、以下の表を基準に考えています。
まとめ
心エコー検査は、心臓の異常を見つけ出すために欠かせない方法です。定期的に検査を行うことで、症状として現れない異常を発見し、早期治療につなげることができます。心臓の病気は早くから治療を始めることで、治療の選択肢が増えるだけでなく、動物への負担も最小限に抑えることができます。
心臓外科の手術を行っている動物病院は少ないですが、当院では循環器専門医と連携を取り手術を行っております。心臓の病気は見た目では判断できないことが多いため、健康診断以外にもご不安な点があれば、お早めに当院までご相談ください。
■犬の僧帽弁閉鎖不全症はこちらでも解説しています
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